シェア

メニュー

お金のこと

【不動産豆知識】相続の遺言書は3種類

どうやって自分の財産を複数人いる相続人に揉める事無く相続させるかは、財産を引継いで守って貰う為には重要な事です。
相続人が一人であれば相続で誰かと揉める事はありませんが、複数人の相続人がいるのであれば遺言書が有効です。

現在は長寿社会で遺言書を用意するのには、痴呆症やレベルの高い要介護者になってからでは難しくなってきます。
元気なうちに相続人の為に早めに用意しておくことが必要です。

その遺言書には3種類あります。
それを簡単にご説明いたします。

遺言書は被相続人が相続人の為に用意するもの

元気なうちから縁起でも無いと被相続人が口にするのは昔の話で、今の時代は、相続人が1人であれば問題ありませんが、相続で訴訟したりするのは、決まって仲が良いと思われていた兄弟姉妹に多いと言われています。

両親のどちらかが亡くなる一次相続では相続人達は揉めたりしませんが、ご両親のどちらも亡くなった際の二次相続ではトラブルが起こる事が多いのです。その際に有効なのが、被相続人が相続人の為に考えて作成する遺言書です。

新宿7丁目

遺言書には3種類あります

遺言書には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言とあります。法改正で自筆証書遺言に変更がありましたので、それもご説明致します。

公正証書遺言とは

公証役場にいます公証人が遺言者の言う事を文書にまとめ作成して、原本を公証人役場で保管します。本人以外でなければ確認が出来ず、遺言書を破棄されたり、改ざんされたりする心配はありません。但し、財産の金額により異なる手数料(費用)が掛かってしまいます。

例えば、3千万円超え5千万円以下29,000円、5千万円超え1億円以下43,000円、1億円超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額となっています。

さらに、遺言書は、通常、原本、正本、謄本を各1部作成し、原本は法律に基づき役場で保管し、正本と謄本は遺言者に交付しますが、原本についてはその枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算され、また、正本と謄本の交付にも1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。

他に遺言者が病気又は高齢等のために体力が弱り公証役場に赴くことができず、公証人が、病院、ご自宅、老人ホーム等に赴いて公正証書を作成する場合には、上記の手数料が50%加算されるほか、公証人の日当と、現地までの交通費がかかります。

民法の改正により、平成12年1月から、口がきけない方や、耳の聞こえない方でも、公正証書遺言をすることが出来るようになりました。従って、口のきけない方でも、自書の出来る方であれば、公証人の面前でその趣旨を自書することにより(筆談により)、病気等で手が不自由で自書のできない方は、通訳人の通訳を通じて申述することにより、公証人にその意思を伝えれば、公正証書遺言が出来ることになりました。この結果、もともと口のきけない方も、あるいは、脳梗塞で倒れて口がきけなくなったり、病気のため気管に穴を開けたりして口のきけない状態になっている方でも、公正証書遺言が出来るようになりました。

自筆証書遺言とは

言葉の通り費用も掛かりませんが、文章の全文、日付、署名など全てを自筆で作成する遺言書になります。保管も自分で誰かを指名して保管したり、自分が亡くなった後に遺言書の保管場所が分かるようにしておかなければ意味がありません。

遺言書を発見した者、保管場所を知っている者は、家庭裁判所に検認の申立てをして、相続人立会の上で開封しなければなりません。これは相続人等の利害関係者に保管場所を伝えておかなければならない事も多く、発見した者が破棄する危険性や改ざんする可能性も否定出来ない遺言書ではありました。

しかし、2020年7月より法改正があり、自筆証書遺言を法務局で保管の申請が出来るようになります。法務省で定める様式に従って、自筆証書遺言を作成し、封のされていない状態で法務局に申請します。法務局において原本を確認して保管をして貰えるようになりましたので、破棄されたり改ざんされる危険性が少なくなりました。

そして、法務局で原本が保管されている為に、家庭裁判所の検認が不要になりますので、2020年7月10日からこの遺言書の保管方法を取られる被相続人も増えるのではないかと思われます。

秘密証書遺言とは

遺言内容を秘密にしたまま自筆以外(パソコンなど)で、更に第三者が作成してもよい遺言書になりますが、署名だけを自署とします。現在、殆ど利用されていない方法となっています。

封筒に入れて封をして、遺言書と同じ印鑑で封印した封筒に、公証役場で公証人および証人2人に確かに自分の遺言だと証明して貰います。公証人が、日付とその旨を記入し署名捺印します。費用は1万1千円と安く済みますが、公証役場では保管されませんし、証人2人用意する手間が掛かります。

開封する場合には、自筆証書遺言と同じで、家庭裁判所に検認を申立てる必要があるので、費用と手間が掛かるのに、開封するまでその秘密遺言証書が有効か無効なのかが分かりませんので、利用しにくい遺言証書であるので現在は利用される方が少なくなっています。

不動産豆知識一覧に戻る